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beads① [handicraft]

ビーズ。
それは『穴の明いた小さなもの』という意味。生産するお国柄がとてもよく出て、インドビーズは硝子を冷やすときの砂がついたまま販売されていて、チェコのビーズはとろりとした表面を出すためにきついカットを火で炙る。オーストリアでは酸化鉛(PbO)の含有量比が最低32%以上にもなるぎらぎらと輝く手も切れそうな精巧なカットを施し、イタリアでは大ぶりなハンドメイドの柔らかな丸みを、アメリカのプラスティックのポップなカラーとシニカルなメタルパーツ、そして日本のとんぼ玉と工業規格で0.1㎜と違わない正確な大きさ、多彩な色、計画的で顧客を困らせない絶え間ない生産。
材質も硝子から天然石・金属・木・プラ、真珠に珊瑚と素材を選ばず、大きさも様々。

古代から人は何か大事なものを得ると、穴をあけて紐を通し、首から下げたり手首に巻いたりして身につけて離さないようにしていたのでしょう。そう考えるとビーズ手芸は非常に原始的な感情に突き動かされたものなのかもしれません。

ビーズについてはもう少し場を持ちたいと思いますので、つづく、ということで。


ワックスモデリング [handicraft]

テンフォレストでワックスモデリングを習い始めました。まだハードワックスに只管(ひたすら)金鑢(かなやすり)をかけるだけですが、他のことは何も考えず只管作業を続け、小さな角度や出っ張りを少しずつ変えていく作業は営業がいつ何を言い散らかすかわからないので散漫に注意を払い続けなければならない今の仕事の丁度対角にあるのか、その時間が終わると疲れとともに軽い爽快感があります。

鴉の目を持つ私ですから、早くワックスを金属にして石でも留めたいと希求するのは当然ですが、しかしそれでも技量が未熟なため銀等の貴金属を無駄にしてしまうであろうことが否めない以上に、ワックスを削る作業が殊の他楽しいのです。
なので水曜日が楽しみでならないのですが、如何せん御徒町を出るのがその日が終わる二時間前、家に着くとあと三十分で翌日なので、木曜はもうはっきり言って死んでいます。

御徒町は宝石の町で、台東区というところはつくづく『ここは電気機器』『ここは工芸資材』『ここは金属』『ここは布』と倉庫をまとめ、倉庫そのものを開放して売るという気質が根付いているようです。隣は秋葉原、ちょいと乗り換えればその隣は浅草橋。
台東区に住んだら二日で破産するだろうなぁ、私。


beads② [handicraft]

浅草橋に行って参りました。
会社帰りに行くと無茶な買い方をしないで済むので、ちょこちょこ寄るのを信条としているのですが、寄れば寄ったであれもこれも光り輝いて、あっという間に幾人もの夏目さんとさようならをしなくてはなりません。
問屋街なので大概は17~18時で店仕舞いのところが多い中、昨今のビーズブームに乗って貴和製作所等いくつかの店舗や、硝子工芸などの教室を開いているところなど、20時近くまで開いています。

さて、今回はチェコビーズを求めに行ってきたのですが、チェコビーズには少し思い入れがあります。それもその筈、COTTONFIELDしかきれいめビーズの販売処を知らなかった頃、入り口入ってすぐ右の壁にずらりと並べられていたのの2/3がチェコのファイアポリッシュだったのです。残り1/3は当時色数のとても少なかったスワロフスキーでした。スワロフスキーは今でこそかなり安価になってきましたが、当時は結構イイお値段で、同じような色なら、あるいは色が豊富なチェコに行くのは当然の向きだったと言えます。
そんな風にしてファイアポリッシュにどっぷり浸かって色々しこしこ作っていたのですが、やはりなんと言っても色の豊富さがどの種類のビーズにも及ばないことでしょう。硝子そのものの色、仕上げにコーティングして重ねた色、グラデーション、穴に箔を張ったもの、金属の光沢をもたせたもの、パールコーティングしたもの…挙げれば限がなく、また呼び名も統一されていないようなので気に入ったものを目で憶えて探したものです。
職人さんたちがチャレンジャブルに試して生産された4㎜の色は誠にポップな色からシックなもの、上品なものまでシュウウエムラ氏のアイカラーのコンセプトさながらにあり、上手に使うと技術の未熟さをカバーしつついい仕上がりになる魔法のビーズなのです。
こんな風に恩恵に浴してしまったため、『チェコビーズ』の呼び名にどうしても馴染めず、ファイアポリッシュ=チェコと勘違いしていた頃もありました。若気の至りです。チェコの中の一製品としてのファイアポリッシュという位置付けにやっと馴染めたのがマシンカットといわれるちょっと雑な鋭い切り口のチェコビーズが店頭に並んだ頃でしょう。棗型、雫型、エリカなどがなぜかファイアポリッシュの亜流にしか見えなかったのに、マシンカットはちょっと画期的だったなと思うのです。

そういうわけで、今回はぺタル(花弁)型チェコを求めながら、我がビーズ歴におけるチェコ、特にファイアポリッシュ、その中でも特に3㎜の自分に与えた影響を思わずにはいられない夏目さん3人とのお別れだったのです。


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