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震災から一ヶ月 [my little little sister]

大震災から一ヶ月が経ちました。
震災当日私は何をしていたかというと、新潟でも比較的否かなりハイテクな新しいビルにいて、着物のセミナー中でした。そしてよせばいいのにまた買い物していたのです。
ビルが免震構造な所為か、パチンコ玉を敷き詰めたコンパネ板の上に座っているような感覚でした。新潟も結構震度があったのだけど、おかしなことに『ユカイな気持ち』になっていたのです。きっと、中越・中越沖地震が過ぎ去ったあとの地域なので、もう被災することは無いだろう、とか、揺れが上記のような状態だったので、遊園地みたいなところでアトラクションにのってしまったみたいな感覚になってしまったとか、そんな感覚にとらわれていたに違いありません。それと、新潟市が新潟県の中で最も信濃川の河口に近く、雪崩・地割れというリスクが低い(それよかどちらかといえば液状化の方が有り得ると思うの)という思い込み、火災になってもビルは新しいし大通り沿いだし、歩こうと思えば2時間くらいかければ家に着くだろうし道は一本だしと楽観していたのも否めません。
結局真冬の最中に一度諦めて諦めきれずにいた紗の羽織、それも当時は血赤のような黒っぽく見える臙脂に柳というかミズヒキが風に靡くような柄(となみでも営業さん達の間で割と早い者勝ちというか取り合いになる柄らしい)の、今回新潟に来ていたのは黒に近い紺を選んで値切りに値切って…太平洋側で地震にのまれ津波に攫われた人たちがいたっていうのに、そのリアルタイムで何やってたんでしょうね、私。

その後のセミナーでまた見かけたのですが、この紗、血赤な濃臙脂、黒に近い紺の他に、生地がすこし絽めいた黒に近いビリジアンもありました。白で描かれた柄は一緒です。緑系も悪くない、とぐらぐらしている自分に『おいっ、ぐらぐらするところが違うダロ』と一人ボケ一人ツッコミ@インナーワールド。

羽織が五月半ばで出来たとしても、季節的には三月下旬から着てもいい代物でありながら、私が着れるのはおそらく九月を過ぎてから。このパンパンのお腹ではどうやったって帯がまず締められないもの。着物で生活していた時代にも妊婦はいた訳で、お端折の由来はそこにあるという説を聞かされる機会が多々ありましたが、だからって何も『よそゆき』を態々生活くさい『妊婦』が着る用向きがある筈も無く、二月半ばからその後押入を整頓して以来一度も畳紙を開けていません。つまんない。寧ろ妄想が走ってセミナーで肩にかけもせずあーだこーだと品評ばかりしたり、ネットで同じものを安く見つけたり、ハイエイジ向けの多い世界観から抜け出して青いセンスなものを勝手に選んでみたり(但し元手が無いので全て妄想で)ということに一ヶ月終始し、外にも出ないので募金もろくにせず、テレビの映像が日々悪化していく被災地、特に福島の原発や宮城の黒い津波跡にあぁ大変ねと愁嘆し、浦安の液状化にそんな場所を選ぶからよと人間の業の深さを嗤ったりしていたのです。スミマセン。

やがて東京湾の三番瀬がなくなったなんてニュースも聞こえてくる頃、やっと実感というか反省の念が湧いて来たのか、或いはマタニティ・ブルーになったのか、もう少し危機感みたいなものを持つべきだったかと思い至りました。
それは、家に帰るとその数日前に『片付け』と称して壁際に積み上げた漫画が雪崩を打って崩れていたこと(それ以外に物的被害はありませんでしたが)、その時刻家ではワンコが一人で留守番していたのですが、彼女がそんな中どんな気持ちでいたのだろうかとやっと考えるに至ったことでした。その時私は西陣からきた着物や帯に囲まれウカウカして、そのあと一週間分の食料をノンビリ買い出し、いつものようにバイトに行って旦那のお迎えで帰ってくる、なぁんにも考えず気楽に過ごしていましたが、よく考えてみれば置き去りにされてたうちのお嬢様は一体この揺れをどんな風に感じていたのか、余震がくるたびにぱちりと目覚めて不安そうにしている、或いはどんなに揺れても動じること無く爆睡しているワンコを見て、やっと私にとっての震災が実感を伴ってきたのです。
結論から言うと、避難しなくてはならなくなったら人間の食料は兎も角、弓手にワンコを抱えて、また馬手にワンコ用のカリカリと皿、そして缶詰とスプーンは絶対に持ち出さなくてはならないということです。人間は何のかんの言って行政が面倒を見てくれますが、ワンコは誰もケアしてくれません。人間の食べ物を分け合うことは可能ですが、大きい犬ならまだしもヨーキーやチワワのような小型犬に人間の塩分濃度を与え続けることは不可能です。
何が一番大事なの?と問われたら、命だ家だ着物だ金だと欲の尽きない私ですが、自分では何とかできないことって何なの、という問いを一番にすべきなのが避難なのだと、多分被災したら保護対象として優先順位の高い妊婦はこう考えたのでした。

紗の単衣の羽織は出来上がり次第ここで見せびらかそうと目論んでいますので、ご意見の程をお待ちしております。
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