夏用オーガンジー半襟

日曜日にとうとう私の電池切れが起きました。

事の発端は木曜深夜です。
月曜に先生に仕立を頼んでいた駒絽の白長襦袢が仕立上がりました。受け取ってみるとちょっと全体に肌色がかったくすみ…あーこれ、手についたファンデーションだぁ。どうしても顔って無意識に触ってしまうので、化粧したまま布地や糸を触ると少しずつ汚してしまうんだよね〜と思いつつも、折角縫って下さったのですし、長さやくりなどを工夫して下さったので、是非一度、縫い上がりの様子を見ていただいて、どうしても合っていない直し部分が無いかを確認してもらうため、金曜の日本和装のイベントに十日町紬？みたいな紗？みたいなよく解らないグレー？のような(注:何故『？』だらけかというと、これを私に売りつけた某国際空港と同じ名称の加盟店Nのヨッチャンがばたばたセールの中私にも先生にも職員にもちゃんと説明せず、そのまま新潟にかれこれ一年近く来ていないからです)をとうとうお披露目する事にしたのです。そこで長襦袢に半衿を付けなくてはいけません。ここまできたら透ける素材で纏めちゃうか…と選んだのはオーガンジー半襟。これ、こうやって黒地の上に置くと麻の葉だと解りますが、白地に置くと全く何だか解りません。ナイロン100％。この半衿、逆にこの着物くらいじゃなければ合わせ難いかも…。さて、半衿付けは一時間半くらいだらだら縫って完成です。明日使う小物や帯やメインの小紋などを箪笥から引っ張り出し、一応確認。帯は冬にエイヤッと買った羅組間道。確か夏用のメッシュの帯板も買っておいた筈…と上から下まで掻き回すも見つからず。30分程探して断念。帯揚げと帯締めはきっちり兎。草履はこの前のイベントで買いもしないのに参加して貰うだけ貰ってきたリネンのやつ。うしっ。という訳で三時半、押入の上の段に並べ直し、襖を閉めてAに見えないようにして寝ました→六時半くらいに起きて朝飯と弁当を作って七時過ぎにAを送り出しました。そして後片付けや洗濯をしながら徐々に着付けてゆきます。初めて袖を通すので意外なところに仕付けが残っていたり思いの他お端折が取り難かったりして変なところで時間を喰うので、乍ら乍らでやっていたら乗る予定のバスの15分前に！ばたばたと家を飛び出し、バスに飛び乗りました。イベントの会場のあるビルは正面玄関は硝子の自動ドアで悠長にバスから降りた私がそこに映るものを見たのは…裾を大失敗して長襦袢ががっつ出ているみっともない姿でした。帯から上がよく出来ていただけになんとまぁ情け無い格好でしょう。取り敢えずエレベータが目的階につくまでにせこせこ長さを直しなんとかなんとかな形にしたのですが、モチベーションは最悪です。その上着いたら着いたで今回の加盟店は川瀬満(飽きた。つか何か鼻につく)で、その上説明要員が冗長。加盟店についてはちゃんと確認しないで来た私もイケナイのですが…。話が中弛んで足は痺れるし商品は七割方見た事あるしで、極めつけがご来場の方に漏れなくプレゼント！の浴衣が500円にもならなさそうなドピンクで、もうなんだか色々嫌になってしまって雨の予報も気が付けばピーカン、ちょっと買い物をしてさっさと家に帰りました。というのも、夕方から別の用事があるので、脱いで畳んで片付けて、Aの夕飯の支度して洗濯物残っているの洗って干して取り込んでと、一気に午前中にロスした分を取り返さねばなりません。

金曜の夜はそうやって『取り敢えず片した』ものをきちんと仕舞い直し、明日土曜に東京は三鷹に病院へ行くついでにあれこれ買い出しだの用事だの友達だのと予定してるので、その準備です。バッグは少し大きめにして、エコバッグを別に持ち、風呂敷に実家へ持って行くお中元擬きを包んで…はっと気付けば三時半。またかヨ、と思いつつ寝ました→六時半くらいに起きて朝飯と弁当を作って七時過ぎにAを送り出しました。そして後片付けや洗濯をしながら出来れば8:59のノンストップ新幹線より一つ前のに乗りたいなぁと用意しておりましたが…願い叶わず、その8:59に乗る為の電車も乗り逃し、九時台一本目になってしまうなと半ば諦めムードで電車に乗りました。その電車、自駅から新潟駅までかかる時間を計算すると、本来なら8:59よりも３分程前に着くので、まぁ乗れるっちゃぁ乗れる筈なのです。しかしそうは問屋が卸さないのが終点駅に入線する電車。発車時刻が定められていないのを良い事に、のろのろ入線しやがりますのよ。するとホームに降り立つのが8:59になりやがりますのよ。という訳で諦めかけていたのですが、このときものろのろは走るもののそれでもホームになんとか３分前に着けそうじゃありませんか。これはもしかしたらいける！と久しぶりに走りました、駅構内。すると何と8:59が待っているではありませんか。新幹線改札は柵をばーんと開いて。どうやら他の路線が事故か何かで僅か遅れたお陰で途中駅止まらぬ8:59はスピードさえ調整すれば到着時刻を守れるという事で出発をぎりぎりまで延ばしていた様子。その機に乗じて私もホームへ駆け上がります。2/3くらい上がったところで日頃の運動不足のツケが参りました。『あと少しなんだから動け私の足』。スポ根漫画みたいな科白を内心吐きながら(本当にこういう時ってこういう風に思うもんだわぁ)、なんとか8:59の新幹線に8:59に乗り込みました。三人席の真ん中でしたが座るところを見つける事が出来、テーブルを出したところでもうダウン。テーブルに一時間突っ伏して眠って気付いたら高崎辺りでした二の腕には髪を留めていたピンのあとがくっきり残っていました。
東京駅から三鷹へは、いつも通り次に青梅特快が出る一本前の快速。一本遅らせて特快に乗ってもどうせ待ち合わせは三鷹。寧ろ降りてしまうのだからホームに先に入る快速で充分です。高尾方面に乗るときは進行方向を向いて右側のお席が新宿から先北側です。そっちに座りましょう。病院は思いの外待ち時間が長く、薬が出終わったのは一時になっていました。これから実家にお中元擬きを置きにいきます。東小金井はまだ工事が終わっておらずそれでも徐々に様相を変えつつあるような無いような駅前を抜け、農工大工学部を抜け…と、何と染めをやったとき、青が染まるとどこかから知ってやってみたいものだと近所に野放図に生えていないかしらと探すも見つけられなかったグアラニチカが雑草化している有様を発見。勝手知ったる子供の頃からの遊び場、今同じ遊びに興じるのはどうかと思うけれど、勝手知ったる何とやらで摘み過ぎないよう結構沢山摘んできました。わーい。エコバッグの中にいくつか放り込んであったビニール袋が役に立つとき！勿論実家にもグアラニチカが雑草化していて、ここでも一摘み。大収穫です。ここで一休みがてらお昼を頂いて、気付けば四時近く。Kも用事が済んだらしくぷらぷらお茶とお買い物で吉祥寺で落ち合う事に。吉祥寺といえば伊勢丹が閉まり、ロンロンが閉まりアトレになり、です。G−clefでお茶を買ってこなくては。そしてアトレをチェックしなくては！
という事で吉祥寺駅前北西部をぐるっと回ってお茶と…何故か懐紙挟みを買っていました。
どうにもRさんは土曜出勤の仕事が終わらないようなので、この足で浅草橋へKと向かいます。足らなくなって来た透明のチェコシードを買い、新作をチェックし、いくつか新潟で手に入らない色を買って19時になりました。19:10に浅草橋を出れば19:32の新幹線に乗れます。上々です。
新幹線では寝ていこうかと思ったのですが、こういうときに限ってデッキを踏み外す酔っぱらいがいたり、コドモがわんわん泣いていたりと眠る感じではありません。仕方なく戦利品を整頓して、少しだけ用意していた半衿の編み込みを進め、なんとか三条くらいまで気を紛らわしました。
着いたら着いたで切符を次の人に渡して(土日で使えるフリー切符なので)予定していた近くの居酒屋でご飯です。Aの実家の体質で、『居酒屋であろうと自分の食べたい物を自分の為に自分の分を自分で頼む』(居酒屋って誰かが仕切るものだと私は硬く信じていたよ…)なので、何を食べたいかと問われても、私は何でも良い、寧ろ他人セレクトの方が斬新なものが喰えるという信条なのですが、Aはそれを許してくれません。でもここ数日動き回って作業しまくっていたので何だか疲れてきていてそんな事に頭を使いたくない心境。けれどテンションの異なる人にこういう心持ちって通じないものなので、仕方なくローなテンションに鞭打ってなんとか食事を乗り切ったのでした。
明けて日曜日、Aは燕のお祭りで振る舞われるナントカ鍋が喰いたいと早起きを要求。しかし電池切れ、どうにかこうにか九時過ぎに起き出し身支度洗濯物干を完了して出掛けるも、猛暑。車から降りると三歩歩いただけで口で息をする羽目に。いや元々私は暑さに弱いのです。酷暑の東京で暮らしていましたが、酷暑の時刻はOLちゃん達はビルの中で涼やかに過ごしていますから、東京が暑かろうと寒かろうとあんまり関係ないのです。そんな体質のまま電池切れで強烈な陽射しの中を歩くとだらだらを通り越してどうしようもない様相です。振る舞い鍋は丁度終わってしまいました。Aは二日がかりで不貞腐れています。月曜日仕事がお休みなものですから手に負えません。そんなこんなで最悪な海の日をやり過ごし、平常の火曜日を迎えます。

やっと火曜日だ、そんな感じです。