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敬語 [pleasure]

奇妙なことに、敬語が好きです。
逆にTV等で妙な言葉を使われちゃうと、戸惑う。

敬語って、相手を敬うかどうかは取り敢えずさて置き、相手と自分との距離とベクトルを示すものだと思うのです。
例えば、参る(謙譲語)ー来るーいらっしゃる(尊敬語)
例えば、致す(謙譲語)ーするーされる/なさる(尊敬語)
時々ドラマとかで耳にしませんか?『大臣は間もなくられます』なんだこりゃ。なんで謙譲語と尊敬語が混ぜてあるの?この場合、大臣の部下に当る立場なら『大臣は間もなくります(自分にとって目上の人物だが、身内なので謙譲)』か、『大臣は間もなくいらっしゃいます(自分にとって目上の人物であり、アナウンスする相手にとっても目上の人物であるとして、皆で尊敬)』であるべきじゃない?『くられます』は周囲には自分は謙っていますが皆さんは敬いなさいよ?という自分だけイイコちゃんに逃げている態度の現れじゃないかとしっかり疑われる言葉による発露じゃないかと思うのです。
刑事ドラマでよく見るのが、上司に対して『ご苦労様です
という挨拶。この言葉は敬語のジャンルに入るのかよくわからないけれど、決して部下から上司に言って良い言葉ではない。上司から部下にかけるべき言葉であって、部下からは『お疲れさまです』が妥当。上司に向かって『頑張って下さい』はこれもまた誤り。『お疲れになりませぬよう』なんですって。これは最近知りました。
要は知らない人にとっては「どうでもいいじゃん?」な内容だけれど、もしこのことを知った上で私が部下からこれらを言われたら、きっとその部下を蔑視する。だって、『あ、こいつ実は私のこと疎かに思ってるのだなぁ』って、信頼できなくなると思うの。

電話の仕事をしていた時、掛けてくる方も掛けられてくる方も相手の顔が見えない訳で、読み取れないものが多い分言葉でベクトルをはっきりさせる必要があると痛感しました。如何に慇懃無礼にならず、丁寧な表現を使いつつ、毅然と。つまり相手を怒らせないようにちゃんと出来ないことは出来ないと言う、というウルトラC。電話オペレータは言葉の職人です。
『では、◯◯を修理に伺う日時をお約束するお電話を担当から、明日、差し上げますので、お名前をお伺いできますか。××様ですね。お電話番号をお伺いできますか。××番ですね。ご住所をお伺いできますか。××県××市××番地ですね。では、××様、明日、担当よりお電話を差し上げます。お電話、有り難うございました。』
復唱に次ぐ復唱。念押し。強調。決して嫌味なく。

『◯◯さんのお母様ですか?唯今お帰りの用意をなさっておいでです。もう暫くお時間をいただけますか。申し訳ありません』
『これ、落とされましたか』
『これを頂けますか。お手数ですけれど贈り物用に包んで欲しいのですけれども』
『◯◯先生、いらっしゃいますか。今日はいらっしゃらない…いつお見えになられますか。それでは伝言をお願いできますか』
書き出してみると意外と言葉って謙っているなぁ。今の私に尊敬する相手は少ないってこと?

逆に丁寧語を含めたこれら敬語を全てかなぐり捨てたとき、一気に剣呑になる自分を実感できます。
『あんたが母親?帰り支度してるから待ってな。待ってろって』『落としたヨ』『これ買う。包んで』『先生いないの。じゃ、伝えといて』短っ。表情まで心なしか険しくなってます。

言葉の賦香剤です、敬語って。
使い過ぎはくさいけど、よい匙加減ならいい印象を綺麗に残して姿は消える、そんな感じ。
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