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武島羽衣作詞、滝廉太郎作曲 『花』 [pleasure]

昔音楽で歌わされても何とも思わなかったのに、最近ふとしたきっかけで口をついて出てしまうのです。隅田川ですよ、隅田川!あの濁り水の、ゼロメートルの堤防の、鉄橋やら高速道路やらの橋が13も掛かっている、水上バスにはとバスの、川端には雲なのかうんうんなのかよくわからない金色のサントリーのオブジェの…

段々下品になってきました。
本題に戻してこの歌詞を読み解くと、昔の川って綺麗だったんだなぁ、としみじみしちゃうのです。ウィキペディアに拠ると、『舟人』とは明治草創期に渡来して間もない漕艇(レガッタ)の様子なんだそうです。
川面に迫り出した染井吉野。澄んだ川。新品のレガッタ。風に花びらが舞い、飛沫が跳び、陽光に煌めく。学生の元気な掛け声が江戸の残した透明感のある自然な春に富国強兵を謳う明治の弾力感が『クサイ』とも思えるほど絵のような風景にかっちり嵌るのです。

春のうらゝの 隅田川
のぼりくだりの 舟人が
櫂(かひ)のしづくも 花と散る
眺めを何に喩ふべき 

見ずや曙 露浴びて
吾にもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ手をのべて
吾差し招く青柳(あおやぎ)を

錦織りなす 長堤(ちょうてい)に
くるれば昇る 朧月
げに一刻も 千金の
眺めを何に喩ふべき
 

清少納言ではないけれど、朝露に桜、黄昏の夕陽には枝垂れ柳。風が吹けば桜は語りかけるように揺れ、柳は手招きをするという。
日が沈めば屋形船でも出したのか、今まで岸からの目線が川の中からに変わり、堤越しに湿り気のある空に月が昇り――堤から見えるから十三夜くらいの満月より少し前の月に違いない――日中華やかに見えていた桜や柳がぼうっと浮かび上がる。船はゆっくり川を下り、酒でもちびりちびりと呷っていけば、30分なんてあっという間です。千金がどういうものかわからないけれど、単純にAuが1㎏だとしても、一刻=30分(中国では15分!)でその重さの金に換金できるほどって…。
と思ったらもっと大袈裟な人がいました。中国の宋代の詩人・蘇東坡(そとうは)です。蘇東坡の詩『春宵』がこの歌の原典なのかな?

 

※2007.05.25追記 あの金斗雲は「炎のオブジェ」で、躍進するアサヒビールの心の象徴なんだそうです。ごめんちゃい。


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