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有栖川 有栖『白い兎が逃げる』 光文社 [books]

白い兎が逃げる 逃げる白兎のように生きていたい。
叢のような機材や人々や資料の山、パーテションの隙間から時折見えるその姿。ややっ、今のはなんだ?あそこで働いているあいつか。また見えなくなった。ちょっち追ってみる?周りにどぶ色野鼠とか原色の井守がいるけど、そんなのとは比べ物になんないくらい白さ際立つ見映えだ。銀狐のように美しいとは、小栗鼠のように愛らしいとはいわないが、ベタな野生のいきものではないな。
…そんな風に存在したい。

昨日どぶ色野鼠ちゃんについて少し(?かな?)言及致しましたが、今日は原色井守ちゃん。
この野生のいきものは、以前の職場にいたのと少しタイプが似ています。何しろゴーイングマイウェイ。服装のセンスといい、ただただでれんと長いだけの髪。白髪がぎょいーんと混ざってたっていっかな気にしなーい。取り敢えず仕事姿じゃないから一つに結んでるだけ。色が違うだけでいつも同じ服。不潔じゃないけど、なんかいっつもちょっと流行無視のおんなじ服。身を飾るものはゼロ。一応眉は整えて(形だけね!長さはぼうぼう!!)あるけど、化粧っ気なし(これはテカテカどぶ色野鼠ちゃんもね)。口を開くと常識的だがなんか不思議ちゃん。不思議ちゃんであることに恥じらいが無い。そして……一応プログラマモドキらしいのでヘルプデスクではないのだが、同じグループにいるのだから電話くらい取ろうよ。誰がいて、誰がいないか位この女でも答えられるだろって、何度も思いつつ、片方を保留して別の電話の受話器を取る私。いっちゃん(-"-)ムカ(-_-メ)つくのは…こいつ、仕事中に寝る。寝るな!モディリアニの描いた絵のように仰け反って!かといって俯いて舟を漕ぐな!
最初の頃は言葉でいぢくり倒して睡眠を阻止してましたが、何で彼女の作業効率を上げる為に私が躁的にならねばならないのだ?と思ったので、可能な限り無視。うふふと白兎のように見え隠れしつつ、彼女に関わらないようにすることをやっと決断できた今日この頃。
この処世術をもっと若いうちに悟って身につけたかったわ、そう思いつつ、それでも新潟にいるあの人を得られたのもこの性格が災いしたのが福と転じたからあるのであるから、悟ったのは今でよいのかもしれません。

有栖川有栖はぶれ易い『新本格』の中で唯一ぶれずに未だ『新本格』を貫いている作家ではないかと思います。名探偵とそのアシスタントの男二人組みのゴールデンコンビ、密室あるいは密室的トリックと叙述トリックのバランスが取れていて、同時にあんまり浮世離れもしていない設定。今まで本格になりきれず落ち零れた綾辻行人や優秀すぎて浮世から浮いた森博嗣、エンタティメントからミステリへ脱皮し切れなかった辻真先などかなり見捨ててきた私ですが、有栖川有栖は息が長くて続いているなぁ。東野圭吾のように直木賞なんかとらなくてよいから、質のよい本格ミステリで火村助教授と有栖を現場に駆り出してね。


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